原付で行く!札幌―仙台旅行② 東北
9月22日 3:00 道の駅とわだ
バケツをひっくり返したような大雨で、道路が見えなくなってきた。
リュックの浸水が著しく、中の着替えを濡らしてしまう危険を感じ、道の駅とわだの軒下に避難。
俺は、事前に調べておいた、六戸町の舘野公園キャンプ場が近いことを思い出した。暗闇をスローで移動するよりも、一眠りして夜が明けてからハイペースで移動した方が得策では、と考えた。
大雨の中、舘野公園キャンプ場に向かった。道の駅ろくのへを通り過ぎ、舘野公園にたどり着くことができたが、大雨と暗闇で、どこがキャンプ場なのか全くわからなかった。
ついにあきらめ、道の駅とわだに引き返した。
4:00頃 再び道の駅とわだ
軒下についてみると、大阪方面ナンバーの原付50㏄が停まっていた。上下レインウエアをまとった、ライダーと思われる若いお兄ちゃんがベンチで横になっていた。
外は相変わらずの大雨。これはお兄ちゃんに習い、一眠りして朝を待つしかないと考えた。
朝5:30頃、目が覚めた。外は明るくなってきた。レインウエアの上から、100円ショップで購入しておいた、レインコートとレインパンツを着た。こうすると、浸水を遅らせることができる。
6:00頃、お兄ちゃんも起きてきて、俺とお兄ちゃんは、ほぼ同時にあいさつした。お互い原付スクーターライダーだ。気が合うのも当然である。
大阪方面ナンバーのお兄ちゃんは、登山や観光をしながら北上し、北海道を目指しているとのこと。とても気さくで明るい青年だ。好感を持った。互いの旅の情報を交換した。
6:30 道の駅とわだ出発
本当は酌み交わしながら語り合いたかった。しかし互いに時間は限られている。名前や連絡先も聞かなかっ
た。同じような旅をしているのだ。きっとまたどこかで会う。
俺は「お先!」と言って大雨の中を南に進んだ。彼も間もなく北上するだろう。50㏄原付スクーター同士、互いの旅の無事を祈りながら。
<大阪のにいちゃんと野宿>
<出発準備>
<シャワーかよ、とつっこみたくなる大雨>
7:35 五戸町
札幌の長男から携帯電話が入った。何か大事かと思い、トラックが激しく行きかう4号線の路側帯にバイクを停め、電話に出た。
「パパァ、今どこにいるの、フフフフハハハ」長男の声だった。電話の先では、長女や次女のキャアキャア声が聞こえてきた。いつものにぎやかな我が家の朝が聴こえた。父の安否が気になったらしい。無事を伝え、電話を切った。
<息子からの携帯が入り緊急停止>
8:04 南部町で給油
雨が弱まってきた。給油のついでに、タイヤのエアチェックを行うために、L字バルブを取り出した。スタンドの兄ちゃんは、このバルブが珍しかったらしく、興味を示してくれた。
11:00 道の駅 石神の丘
やっと雨が止んだ。ノアでも立ち寄ったことのある、石神の丘で朝食兼昼食だ。原付をどこに停めてよいかがわからず、「自動二輪駐車場」に停めた。大型バイクにまたがった爺さんの冷たい視線を感じながら。
<自動2輪駐車場に申し訳なさそうに停まる>
<晴れてきたので食パンをいただく>
13:17 滝沢インター付近のガソリンスタンドにて給油
給油後、2ストオイルを補充した。オイルタンクに水が入るとまずい。晴れた時しかできない作業だ。
14:05 盛岡市
やっと盛岡についたぜ。
<岩手大農学部の牧場付近だと思う>
16:00 花巻市 宮沢賢治記念館
俺の子どもたちは、宮沢賢治の童話が大好きだ。宮沢賢治記念館や童話村には連れて行ってあげたいと思っていた。今回は、偵察目的で立ち寄った。ショップがまだ開店していたため、子どもたちへのおみやげとして、宮沢賢治の物語をモチーフにしたメモ帳を購入。かあちゃんのためにお菓子も仕入れた。買物を済ませると、16:50を回っていた。記念館や童話村付近の森を散策した。確かに、注文の多い料理店や、ゴーシュの家が出てきそうな、幻想的な場所だ。気に入った。次回は子どもたちを連れて来よう。
辺りは真っ赤に染まっていた。暗闇の中でキャンプ場を探すことは困難であることを、昨日学んだ。明るいうちに行けるキャンプ場。そうだ、北上公園に行こう。
<おみやげやさん>
<幻想的な童話の森>
<美しい風景にハイアップも満足げだ>
19:00 北上総合運動公園
ほぼ日が沈みかけたころ、北上総合運動公園に到着した。公園内を歩き回り、何とかキャンプ場を見つけた。明るいうちに行動してよかった。場所を確認したところで、再びバイクにまたがり、4号線に戻って、スーパーで食パンとコロッケを購入した。旅の終わりの贅沢にと、レトルドカレーも購入した。20:30ごろキャンプ場に戻り、テントを設営したところで、また雨が降ってきた。あわててテントの中にもぐりこみ、荷物にビニルをかけるなどの防水対策を施した。あいにくの天気だが、10張ほどのキャンパーがいた。無料で管理人不在のキャンプ場であるが、皆、静かでマナーがよかった。
俺の主観だが、北海道のキャンプ場は、特にたき火のマナーが悪いように思う。直火じゃなきゃいいでしょと言わんばかり、ご自慢の焚火台を取り出して、祈祷でもやってんのかと思うほどごうごうと炎と煙を上げて、他人のテントのそばで火の粉をまき散らすおっさんをよく見かけた。
確かに、このキャンプ場にもたき火キャンパーはいらっしゃったが、とろ火程度のやさしい火力で、風の方向に注意しながら、時おり囲いを施すなど工夫し、ごく短時間楽しんでいた。このようなことを考えると、改めて東北キャンパーのマナーのよさに感心した。
22:00頃、眠りについた。